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社員が1人辞めると、会社の損失はいくら?|中小企業の社長がすぐできる計算方法と、昇給の費用との比べ方

    
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社員が1人辞めると、会社の損失はいくら?|中小企業の社長がすぐできる計算...

結論:社員が1人辞めたときの損失は、①採用の費用、②一人前になるまでの給料、③教える先輩の時間、④仕事の穴、の4つを足して考えます。 計算例の会社では、入社2年目の社員1人で約300万円になりました。一方、同じ社員の月給を1万円上げる費用は年およそ16万円です。「上げる余裕がない」と感じたときほど、辞められたときの損失と並べて判断してください。

「辞めたら、また採ればいい」

人手が足りないとき、そう考えて次の求人を出す社長は少なくありません。ただ、1人が辞めるたびに、会社は目に見えないお金を失っています。採用の広告費や紹介料だけではありません。新しい人が一人前になるまでの給料、教える先輩の時間、そのあいだに回らなくなる仕事――。

この記事では、社員が1人辞めたときの損失を、自社の数字で計算する方法を紹介します。そのうえで、辞めさせないための昇給の費用と比べる考え方もお伝えします。

損失は4つに分けて考える

損失中身見えやすさ
① 採用の費用求人広告・紹介会社の手数料・面接にかかる時間見えやすい
② 育てるあいだの給料一人前になるまでのあいだ、成果より多く払う分見えにくい
③ 教える先輩の時間先輩が教えるために、自分の仕事を止めている時間見えにくい
④ 仕事の穴辞めてから次の人が戦力になるまで、回らない仕事・残業・断った受注見えにくい

多くの社長が気にするのは①だけです。でも、実際に大きいのは②〜④の「見えにくい損失」です。

計算例:入社2年目の社員が辞めた場合

1社の例で計算してみます(※数字は説明のためのモデルです)。

  • 辞めた人:入社2年目・月給22万円
  • 代わりの人:月給21万円で採用。一人前になるまで1年
  • 会社が払う社会保険料(法定福利費)は約15%

① 採用の費用

項目金額
紹介会社の手数料(年収の約3割)約90万円
面接・入社手続きにかかる社長と担当者の時間(20時間 × 時給3,000円)約6万円
小計約96万円

ハローワークで採れれば手数料はかかりませんが、応募が来ずに紹介会社を使う会社が増えています。

② 育てるあいだの給料

入社してから一人前になるまでの1年間、新しい人の働きは、最初は半分、だんだん上がって、平均すると一人前の6割ほどです。つまり、払った給料の4割は「育てるための費用」と考えられます。

項目計算金額
1年間の人件費21万円 × 12か月 × 1.15 + 賞与約340万円
そのうち育てるための分約340万円 × 4割約136万円

③ 教える先輩の時間

項目計算金額
先輩が教える時間1日1時間 × 月20日 × 12か月 = 240時間
先輩の時間あたりの人件費月給28万円 × 1.15 ÷ 160時間 ≒ 2,000円
小計240時間 × 2,000円約48万円

④ 仕事の穴

辞めてから次の人が入るまでの3か月、ほかの社員が残業で埋めたとします。

項目計算金額
残業で埋めた時間月30時間 × 3か月 = 90時間
残業代(時給1,700円 × 1.25)90時間 × 約2,100円約19万円

ここには、人が足りずに断った仕事や、品質の落ち込みは入れていません。それを入れれば、さらに大きくなります。

合計

損失金額
① 採用の費用約96万円
② 育てるあいだの給料約136万円
③ 教える先輩の時間約48万円
④ 仕事の穴約19万円
合計約299万円

断った仕事などを少し見込めば、入社2年目の社員1人で、300万〜360万円の損失です。ベテランが辞めれば、②〜④はもっと大きくなります。

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支援先で聞いた「百万払わなきゃいけない」

ある製造業の会社で、採用について話していたときのことです。正社員の応募が減り、紹介会社を使うかどうかで迷っていました。

紹介会社に頼むと、採用が決まれば1人約100万円。「同じことをやっても百万払わなきゃいけない」という声が出ました。

この会社で印象に残っているのは、「人を増やせば忙しさは解消できても、利益が出なくなる。今の人員で利益が出る形と、適正な単価が先だ」という言葉です。人が足りないからといって、採用だけで解決しようとしなかったのです。

採用に100万円かけるなら、その前に、今いる人に辞められないために使えるお金はないか。損失を計算してみると、この問いが具体的になります。

辞めさせないための昇給と比べる

では、辞めさせないために給料を上げると、いくらかかるのでしょうか。

項目計算金額(年)
月給を1万円上げる1万円 × 12か月12万円
法定福利費12万円 × 15%約1.8万円
賞与への影響(基本給 × 2か月分の会社)1万円 × 2か月 × 1.15約2.3万円
合計約16万円

月1万円上げる費用は、1人あたり年およそ16万円です。辞められたときの損失(約300万円)は、その20年分近くにあたります。

もちろん、給料を上げれば必ず辞めないわけではありません。辞める理由が給料以外にあるなら、上げても止まらないこともあります。それでも、「上げる余裕がない」と判断する前に、上げない場合に失うかもしれない額を並べて見ておくことには意味があります。

給料を上げても辞める会社に共通することは、こちらの記事で書いています。

関連記事給料を上げても社員が辞めるのはなぜ?|中小企業の社長が、上げる前に確かめたい3つのこと上げる前に確かめたい、上げ方・伝え方・本当の理由

自社の数字で計算してみる

次の表に、自社の数字を入れてみてください。

項目計算のしかた自社の数字
① 採用の費用広告費 or 紹介手数料 + 面接などの時間万円
② 育てるあいだの給料一人前までの期間の人件費 × 4割万円
③ 教える先輩の時間教えた時間 × 先輩の時間あたり人件費万円
④ 仕事の穴埋めた残業代 + 断った仕事の粗利万円
合計万円

②の「4割」は目安です。一人前になるまでの期間が長い仕事(技術職など)なら、もっと大きくなります。

この合計を、去年辞めた人の数に掛けてみてください。会社が1年間に「辞められたことで失ったお金」が出ます。昇給にいくら使えるかを考えるときの、大事な材料になります。

関連記事中小企業の昇給額の決め方|今年いくら上げるかを、社長が根拠をもって決める3つの物差し世間相場・人件費の枠・評価ランクの3つで、今年の昇給額を決める

よくある質問

Q. パートが辞めた場合も、同じように計算しますか?
A. 考え方は同じです。ただし、①の採用費は小さく、②の育てる期間も短いことが多いので、正社員より損失は小さくなります。それでも、パートが毎年何人も入れ替わる職場では、合計すると大きな額になります。

Q. 辞めた人の代わりを採らずに、残った人で回せば損失はないのでは?
A. 採用の費用はかかりませんが、④の仕事の穴が続きます。残った人の残業が増えれば、その人たちも疲れて辞める――という連鎖が起きやすくなります。人数を減らすなら、仕事の量と単価を見直すことが先です。

Q. この計算を、社員に見せてもいいですか?
A. 管理職には見せてよいと考えています。部下が辞めることの重さを数字で知ると、日ごろの声かけや仕事の任せ方が変わります。

まとめ:「辞められたら、いくら失うか」を先に出しておく

  • 社員が1人辞めたときの損失は、①採用の費用、②育てるあいだの給料、③教える先輩の時間、④仕事の穴、の4つで考える
  • 計算例では、入社2年目の社員1人で約300万〜360万円
  • 月給1万円の昇給は年およそ16万円。辞められたときの損失と並べて判断する
  • 自社の数字で計算し、去年辞めた人数を掛けると、1年間に失ったお金が見える

社員が辞めていく理由を、給与の面からまとめた記事もあります。

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