✅ 給与・評価の“決め方”を、社長と一緒につくります

中小企業の賞与の配分の決め方|評価の差をどうつけるか、ポイント制の計算例つきで解説

  
パソコンを囲んで話し合う経営者と社員
\ この記事を共有 /
中小企業の賞与の配分の決め方|評価の差をどうつけるか、ポイント制の計算例...

結論:賞与の配分は「基本給×月数」のままだと、評価をしても差がほとんどつきません。 等級(役割の段階)と評価の組み合わせでポイントを決め、原資をポイントで割る「ポイント制」にすると、勤めた年数ではなく、役割と頑張りが賞与に表れます。評価による差は、最初は1.5〜2倍程度にとどめるのが安全です。

「評価はしているのに、賞与を配ると結局みんな同じくらいになる」

賞与の配分について、社長からよくいただくご相談です。原資をいくらにするかは決められても、それを誰にいくら配るかで手が止まる。結局、例年どおり「基本給の○か月分」で計算して終わる――という会社は少なくありません。

この記事では、賞与の配分の決め方を、3つの方法の比較と計算例で紹介します。原資の決め方は、別の記事で詳しく書いています。

関連記事中小企業の賞与原資、いくらまで出せる?|利益から逆算して決める手順と計算例利益から逆算して、賞与原資の上限を出す手順と計算例

賞与の配分方法は、大きく3つ

配分方法中身よいところ気をつけたいところ
① 基本給×月数全員に同じ月数を掛ける計算が簡単・社員もわかりやすい勤めた年数で積み上がった基本給の差がそのまま出る。評価の差がつかない
② ポイント制等級と評価でポイントを決め、原資をポイントで割る役割と評価がそのまま賞与に表れる。原資の範囲に必ず収まる等級と評価の仕組みが必要
③ 固定+評価で動く分一部を①で配り、残りを評価で配る①からの切り替えがしやすい評価で動く分が小さいと、差が届かない

多くの中小企業は①です。いきなり②に変えるのが難しければ、③で評価の分を少しずつ増やしていく方法もあります。

この記事では、役割と頑張りの両方が表れ、原資から外れることがない②のポイント制を中心に説明します。

ポイント制で配る5つの手順

手順1:等級ごとのポイントを決める

まず、等級(役割の段階)ごとに、基準になるポイントを決めます。

等級役割のイメージポイント
4等級部門をまとめる220
3等級現場のリーダー170
2等級一人前130
1等級見習い・新人100

等級が上がるほど、役割の重さに応じてポイントが大きくなるようにします。等級の仕組みがまだない会社は、まず「新人・一人前・リーダー・管理職」の4段階に分けるところから始めてもかまいません。

手順2:評価ごとの係数を決める

次に、評価の結果ごとに、ポイントに掛ける係数を決めます。

評価係数
S(期待を大きく上回る)1.4
A(期待を上回る)1.2
B(期待どおり)1.0
C(期待を下回る)0.8
D(大きく下回る)0.6

同じ等級の中で、SとCの差は1.75倍です。最初はこのくらいにしておき、社員の受け止め方を見ながら広げていくのがおすすめです。

手順3:一人ひとりのポイントを出す

等級のポイント × 評価の係数 = 一人ひとりのポイント

手順4:原資をポイントの合計で割り、1ポイントの単価を出す

賞与原資 ÷ 全員のポイントの合計 = 1ポイントあたりの金額

手順5:一人ひとりのポイント × 単価 = 賞与の額

この方法なら、全員の賞与の合計は必ず原資と一致します。

来年の昇給、いくらまで出せる?昇給と利益の3年見通しを、無料で1枚にまとめますくわしく見る ▶

計算例:社員10名、原資600万円を配る

1社の例で計算してみます(※数字は説明のためのモデルです)。

社員等級評価ポイント賞与
Aさん4等級S308約110.0万円
Bさん4等級B220約78.6万円
Cさん3等級A204約72.9万円
Dさん3等級B170約60.7万円
Eさん3等級C136約48.6万円
Fさん2等級S182約65.0万円
Gさん2等級B130約46.4万円
Hさん2等級B130約46.4万円
Iさん1等級A120約42.9万円
Jさん1等級C80約28.6万円
合計1,680600万円

1ポイントあたりの単価は、600万円 ÷ 1,680ポイント = 約3,571円です。

注目したいのは、2等級でS評価のFさん(約65.0万円)が、3等級でC評価のEさん(約48.6万円)を上回っているところです。基本給×月数で配っていたら、勤めた年数の長いEさんのほうが多くなっていたはずです。ポイント制にすると、「上の等級だから必ず多い」のではなく、役割と頑張りの両方が賞与に表れるようになります。

関連記事賞与でメリハリをつけたのに、社員の反応が薄いのはなぜか|「固定」と「評価で動く分」に分けて確かめる方法賞与を「固定」と「評価で動く分」に分けて、差が届いているか確かめる

評価の差は、どのくらいつけるのがよいか

差を大きくするほど、頑張った人には報いられます。ただ、いきなり大きくすると、評価の低かった人の不満や不安が強くなります。

段階同じ等級でのS評価とC評価の差向いている会社
最初の1〜2回1.5倍前後評価を賞与に反映するのが初めての会社
慣れてきたら2倍前後評価の基準が社員に浸透してきた会社
成果をはっきり反映したい2.5倍以上営業など、成果が数字で見えやすい職種

大事なのは、差の大きさを社長が意図して決めることです。「計算したら、たまたまこの差になった」ではなく、「うちはSとCで1.75倍の差をつける」と言える状態にしておくと、社員への説明がぶれません。

決めておきたい3つのルール

1. 途中入社・新人の扱い

査定期間の途中で入社した人は、在籍した月数に応じて按分するのが一般的です。たとえば6か月の査定期間のうち3か月在籍なら、ポイントを半分にします。

2. 休職・育児休業の扱い

休職や育児休業で働いていない期間がある人も、在籍月数と同じ考え方で按分する会社が多いです。どう扱うかを、あらかじめ賃金規程に書いておきましょう。

3. 支給日に在籍していない人

「賞与の支給日に在籍している人に支給する」と規程に定めている会社は多くあります。定めがないと、支給日の前に退職した人への支払いでもめることがあるため、規程を一度確かめておくと安心です。

よくある質問

Q. 評価制度がまだない会社は、どうすればよいですか?
A. まずは等級のポイントだけで配り、評価の係数は全員1.0から始める方法があります。そのうえで、簡単な評価(たとえば3段階)を始め、次の賞与から係数を反映させていくと、無理なく切り替えられます。

Q. 基本給×月数から、急にポイント制に変えても大丈夫ですか?
A. 一度に切り替えると、賞与が大きく下がる人が出ることがあります。最初の1〜2回は「基本給×月数」と「ポイント制」の結果を並べ、差が大きい人には調整分を加えるなど、段階的に移るのがおすすめです。

Q. パートさんにもポイント制を使えますか?
A. 使えます。勤務時間に応じてポイントを按分すれば、正社員と同じ仕組みで配れます。

Q. 評価の結果は、本人に伝えるべきですか?
A. 伝えたほうがよいと考えています。賞与の額だけを渡すと、「なぜこの額なのか」が伝わりません。評価の結果と、次に何をすれば評価が上がるのかを、上司から伝える場を設けるのがおすすめです。

まとめ:配分のルールを決めておけば、毎回迷わない

賞与の配分は、次の手順で決めます。

  • 配分方法を選ぶ(おすすめはポイント制)
  • 等級ごとのポイントと、評価ごとの係数を決める
  • 原資をポイントの合計で割り、一人ひとりの額を出す
  • 評価の差の大きさは、社長が意図して決める

一度ルールを決めておけば、次からは数字を入れるだけで、根拠のある配分ができます。そして、社員に「なぜこの額なのか」を説明できるようになります。

賞与と同じ考え方で、来年の昇給をいくらまで出せるかを1枚にまとめる無料の見通しもご用意しています。

→ 来年の昇給、いくらまで出せるか|昇給と利益の3年見通し(無料)

昇給・賞与の判断に迷ったら

来年の昇給、
いくらまで出せる?

昇給と利益の3年見通しを、無料で1枚にまとめてお届けします

見通しを申し込む ▶