【完全ガイド】中小企業の給与制度見直し|手順・注意点・成功事例をわかりやすく解説
昇給のたびに、どのくらい上げるべきか悩んでいる。
中途採用者の給与が既存社員を上回り、不満が出そうで気になる。
評価制度はあるが、実際の給与は社長判断になっている。
こうした悩みを感じている経営者の方は少なくありません。
給与制度は単に毎月の給与を決める仕組みではなく、
社員の納得感
採用力
人材定着
管理職育成
など、会社の組織運営に大きく影響する仕組みです。
しかし中小企業では、日々の業務を優先する中で、給与制度を体系的に整理する機会がなかなかありません。
この記事では、中小企業が給与制度を見直す際に押さえておきたいポイントを
・給与制度見直しが必要になる会社の共通点
・給与制度の基本知識
・見直しでよくある失敗
・具体的な進め方
・成功事例
という流れで整理します。
「給与制度を見直したいが、何から始めればよいかわからない」という方でも、全体の進め方がつかめる内容になっています。
まずは、次のチェックリストで自社の状況を確認してみてください。
■給与制度見直しチェックリスト
次のような状態がある場合、給与制度を整理するタイミングかもしれません。
・昇給額を毎年その場で決めている
・中途社員と既存社員の給与バランスに悩んでいる
・評価制度はあるが昇給は社長判断になっている
・社員から給与の質問をされると説明に困る
・管理職の給与の決め方が曖昧
・若手社員の定着に不安がある
2つ以上当てはまる場合、一度給与制度を整理する価値があります。
■この記事でわかること
・給与制度見直しが必要になる会社の共通点
・中小企業の給与制度の基本構造
・給与制度見直しでよくある失敗
・給与制度見直しの具体的な進め方
・実際に制度を見直した会社の事例
1.給与制度見直しが必要になる会社の共通点
給与制度の見直しを検討する会社には、いくつか共通する状況があります。
次のような状態がある場合、給与制度を整理するタイミングかもしれません。
昇給の決め方が曖昧になっている
中小企業では、昇給額を社長判断で決めている会社も少なくありません。
それ自体が悪いわけではありませんが、
評価制度はあるが昇給は社長判断
昇給額の根拠を説明できない
社員ごとの昇給差が大きい
といった状態が続くと、社員の納得感が下がってしまうことがあります。
昇給の考え方を整理し、一定のルールを作ることで、社員にとっても理解しやすい制度になります。
※昇給ルールの考え方は、こちらの記事でも詳しく解説しています。
→ 昇給ルールの作り方
中途採用と既存社員の給与バランスが崩れている
近年、多くの企業で増えているのが「給与逆転」の問題です。
採用市場の影響で
中途社員の給与が既存社員より高い
既存社員から不満が出る
給与バランスを説明できない
といった状況が起きやすくなっています。
給与制度が整理されていないと、こうした問題に対して場当たり的な対応になりがちです。
※中途採用時の給与設定については、こちらの記事で詳しく解説しています。
→ 中途採用の給与決定方法
評価制度と給与がつながっていない
評価制度を導入している会社でも
評価はしているが給与には反映されていない
評価結果と昇給が一致していない
というケースは少なくありません。
評価制度は本来、社員の成長や貢献を適切に処遇へ反映する仕組みです。
評価と給与の関係が整理されていないと、評価制度自体が形だけになってしまうことがあります。
※評価制度と昇給の連動については、こちらの記事をご覧ください。
→ 評価制度と昇給ルールの連動
若手社員の定着に不安がある
若手社員の離職が続く会社では、給与制度が影響している場合もあります。
たとえば
将来どのくらい給与が上がるかわからない
昇給の基準が不明確
努力が給与に反映されない
こうした状況が続くと、社員が将来を描きにくくなります。
給与制度を整理することで、社員の成長イメージを示すことができ、定着にもつながります。
2.給与制度見直しで押さえておきたい基本知識
給与制度を見直す際には、まず給与の基本構造を理解しておくことが重要です。
給与は大きく次の3つで構成されています。
基本給
手当
賞与
基本給
基本給は給与の中心となる部分です。
企業によって、次のような考え方で決定されます。
年功型
能力型
職務型
役割型
最近では、役割や責任に応じて給与を決める「役割給」の考え方を取り入れる企業も増えています。
手当
手当は、特定の条件を満たした場合に支給される給与です。
代表的なものとして
役職手当
資格手当
通勤手当
住宅手当
家族手当
などがあります。
手当は増えすぎると給与体系が複雑になるため、目的を整理して設定することが大切です。
賞与
賞与は、企業の業績や個人の成果に応じて支給される変動給です。
社員のモチベーション向上や業績向上を目的に活用されますが、支給基準が不明確だと不満につながることもあります。
3.給与制度見直しでよくある失敗
給与制度の見直しは、進め方を間違えると社内に混乱を招くことがあります。
特に多い失敗は次の5つです。
社員への説明が不足する
市場給与を確認していない
評価制度と連動していない
昇給ルールが曖昧
人件費シミュレーションが不足する
給与制度は社員の生活に関わるテーマです。
導入プロセスを丁寧に進めることが重要になります。
4.給与制度見直しの進め方【完全ロードマップ】
給与制度の見直しは、次のステップで進めると整理しやすくなります。
STEP1 現状の給与制度を診断する
まず、自社の給与制度の現状を確認します。
チェックポイントとしては
世間相場と比較して適正か
評価が給与に反映されているか
給与体系がわかりやすいか
昇給基準が明確か
人件費と利益のバランスが取れているか
などがあります。
STEP2 給与制度の方向性を決める
次に、新しい給与制度の方向性を決めます。
給与水準の考え方
基本給の設計
手当の整理
昇給ルール
などを検討します。
ここで方向性を明確にしておくことで、制度設計がスムーズになります。
STEP3 基本給・昇給ルール・手当を設計する
給与制度の中心となるのが
基本給
昇給ルール
手当
の設計です。
基本給の水準や給与テーブルの設計によって、社員の給与レンジやキャリアごとの給与イメージが決まります。
そのうえで、評価や成長に応じてどのように給与が上がっていくのかを定めるのが昇給ルールです。
この2つが整理されていると、社員にとっても「どのように給与が決まるのか」が理解しやすくなり、納得感のある制度になります。
※給与テーブルの作り方はこちら
→ 給与テーブルの作り方
※昇給ルールの具体的な作り方はこちら
→ 昇給ルールの作り方
STEP4 モデル給与と評価制度の連動を整理する
社員のキャリアと給与の関係を示すために、モデル給与を作成します。
例えば
新人
中堅
リーダー
管理職
といった段階ごとに給与の目安を示すことで、社員が将来のイメージを持ちやすくなります。
評価制度と昇給ルールを連動させることで、公平性のある制度になります。
STEP5 社員説明と導入を進める
給与制度の変更では、社員への説明が非常に重要です。
制度変更の目的
給与の決まり方
評価との関係
などを丁寧に説明することで、社員の納得感を高めることができます。
5.給与制度見直しの成功事例
給与制度見直しにより、組織が改善した企業の例を紹介します。
事例1:中途採用による給与逆転を整理できた会社
ある製造業では、中途採用の社員の給与が既存社員より高くなり、不満が出始めていました。
給与制度を整理し
役割に応じた給与レンジ
昇給ルール
を明確にしたことで、社員の納得感が高まりました。
事例2:昇給の納得感が高まった会社
昇給が社長判断だった会社では、社員から「なぜこの昇給額なのか」という声が出ていました。
評価結果と昇給ルールを整理したことで、昇給の根拠が明確になり、社員の納得感が向上しました。
事例3:若手社員の定着率が改善した会社
若手社員の離職が課題だった企業では、キャリアステップごとの給与モデルを作成しました。
社員が将来の給与イメージを持てるようになり、定着率が改善しました。
給与制度見直しでよくある質問
Q
給与制度の見直しはどのくらいの期間がかかりますか?
A
企業規模にもよりますが、一般的には3〜6か月程度で制度設計と導入準備を進めるケースが多いです。
Q
給与制度はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
A
大きく変える必要はありませんが、3〜5年に一度、市場水準や会社の成長に合わせて見直す企業が多いです。
Q
給与制度を変えると社員は反発しますか?
A
進め方によっては反発が起こることもありますが、目的やルールを丁寧に説明することで理解を得やすくなります。
まとめ
給与制度の見直しは、単なる人件費の調整ではありません。
社員の納得感
採用力
人材定着
組織運営
などに大きく影響する、重要な経営テーマです。
給与制度見直しは次の5つのステップで進めると整理しやすくなります。
現状診断
制度の方向性決定
基本給・昇給ルール設計
評価制度との連動
社員説明と導入
自社の給与制度を見直したい方は、まず現状を整理することから始めてみてください。
給与制度の見直しについて相談したい方へ
当社では、中小企業向けに
給与制度・評価制度・等級制度を一体で整理する支援を行っています。
昇給の決め方や給与バランスに悩んでいる場合は、お気軽にご相談ください。